ブラッディマリー
躊躇いなくお母さんの部屋のドアを開けたあたしは、見てしまった。
色素の薄い、茶色の天然ウェーブ髪が、無造作にベッドに散らばっていた。
すすり泣くような、お母さんの声。お母さんの上に、澄人兄さんがのしかかっていて。
見たことのない動きをしながら、お母さんと兄さんの影が重なっていた。
あれからだ。
その光景を見てから頻繁に、あたしの記憶が飛び飛びになるようになった。
そういえば、あの時抱いていたカミーリアは、どこに行ったっけ……。
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