ブラッディマリー
 

 和が上目遣いにじろりと睨むと、俊輔はちらりと舌を出して笑う。



「おー、怖っ」



 俊輔は万里亜の隣に座り、微笑みながら顔を傾けた。



「お嬢ちゃん、名前は?」


「……万里亜です。白城、万里亜」


「へえ。マリアかぁ」



 可愛いねと微笑む俊輔に、万里亜は愛想笑いを返す。自分の身を守る為だけのその笑顔を、和は複雑な面持ちで見ていた。




.
< 32 / 381 >

この作品をシェア

pagetop