ブラッディマリー
雨が降り注ぐ夜のアスファルトは、無慈悲な程冷たかった。
芯まで冷え切った身体に優しくないその状況に甘んじながら、万里亜の瞳から涙が流れ落ちる。
熱い筈のその雫はすぐに雨と混ざり、温度を失って黒い地面へと落ちて行った。
──その時。
万里亜の冷え切った身体を、熱い身体が後ろから包み込んだ。いつ夜が明けるとも知れない、深く暗い道端で。
何故そこで出会えたのかなど、考えるだけ無駄だった。
「……万里亜」
万里亜の耳元で、和がその名を呼んだ。
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