ブラッディマリー
高い水圧のせいで顔にかかる飛沫が鬱陶しいのか、目を細めて万里亜は和を見据える。
その瞳の強さは睨みつけている、と言ってもいい。
「……判らない。犯し合ってる間ずっと、吸ったり吸われたりしてたから」
「はっ、兄妹の血が身体の中で混ざり合うとか……異常なんだよ、お前らは!」
いつになく強い口調で言った和の声に、万里亜はびくりと身体をすくめた。
和は万里亜のワンピースをもう一度掴むと、その身体を引き寄せる。
暖まり始めたせいか、万里亜の胸元の血は湯で流れたそばからまたあふれるように滲み出ていた。
すぐに口唇と口唇が重なりそうな距離で、和は皮肉たっぷりに吐き捨てる。
「俺みたいに、獲物は人間にしろよ。自分に溺れ切ってる人間の血は特にいい味がするってこと、知ってるんだろ?」
その言葉に、万里亜の強い瞳が途端に揺れた。
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