ブラッディマリー
「腹が立つなら、俺のこと殺していいよ」
「そんなこと……!」
「俺もお前のこと、殺してやりたい」
「……!」
万里亜の頼りない瞳が、驚きに見開かれる。
けれど、どうしてだろう。
今まで見た女の、どんな誘う瞳より、驚きと不安に満ちたその瞳に、吸い寄せられる。
和の手に握られていたシャワーはゴトリ、と音を立てて落ちた。着ているワンピースが更に乱れるのも構わず、万里亜はそのまま背伸びをして和に口付ける。足下に注がれるシャワーの湯が、少し熱くて気持ちがいい。
和は万里亜の開いた口唇の中に舌を差し込むと、そのまま濡れて張り付いたシャツを脱いだ。
湿った肌を、冷たい空気が撫でていく。けれど下からは湯気が立ち上ってきていて、妙な生ぬるさがバスルームを満たして行った。
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