ブラッディマリー
 

 ヴァンパイア同士で求め合う、という行為は、お互いいつ相手に命を取られるか判らないものなのかも知れない。


 それでも、救いようのないこの女ヴァンパイアの心と身体を全て満たすのは、自分だけであればいいのにと、和は思った。



 和と万里亜の間に横たわるのは、その昏さと深さに思わず足を取られてしまいそうな程の、孤独という名の泥濘。両側からその泥濘の中に漕ぎ出して行けば、ちょうど真ん中で出会えるだろうか。



 それは、理想でしかないけれど。


 冷え切った細い身体を強く抱いて一度、まだ足りないと切望する万里亜に上からのしかかられて一度、和はその行為に没頭した。



 乾きかけた万里亜の長い髪が、胸をくすぐる。


 それがどうにもくすぐったくて、和は細い腰を掴んで下から揺らしてやりながら、万里亜の髪を後ろに流してやった。

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