ブラッディマリー
ただ、和にとっての真実は、救いを求めるように『殺して』と言った万里亜だった。
あの時の彼女が、今もここにいる。その意味を考えて、和は眉を寄せた。
いっそ望み通り、殺してやろうか?
考えるだけで、背中に寒いものが走る。
俊輔のかつての苦悩が手に取るように判る気がした。
男というのは、惚れた女に溺れ過ぎると、その望みなら何でも正当化してしまえるものなのかも知れない。
それが馬鹿馬鹿しいことだと判っていても、おかしなことだと知っていても、正しく諭してやるべきだと気付いていても。どんなに痛い目に遭わされても、主人に尻尾を振る犬みたいだ。
そこまで思わせる万里亜を、いっそ憎んでしまいたい。
優しくして、愛して、甘やかして。
そんなものでは足りないと思う。
いたぶって、憎んで、蔑んで。
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