ブラッディマリー
 

 確かに、自分と澄人は違う。それだけは、自信があった。



 けれど和を一気に不安にさせたのは、吸血し合いセックスをし、それが繰り返される毎日は万里亜にとっては何ら変わりがないのでは、という思い。


 風邪を引く一瞬前のような寒気がして、和はその身をぶるりと震わせた。



「万里亜?」



 和は、万里亜の本意を確かめるように、もう一度その名を呼ぶ。


 苛立ちの消えたその声には力がなくて、少し震えていた。


 濡れそぼった澄人のシャツを掴み、万里亜は恐る恐る和の顔を見る。


 その瞳に、陰る感情は見えなかった。



「……ホントは、和のところにいたい。でも、駄目なの。どうしても」



 澄人は万里亜の言うことなど予め判っていたように、面白そうに眉を上げる。



「可哀相にな。けれどそれももう終わりだ。万里亜」



 万里亜を見つめる澄人の瞳が、その瞬間柔らかく溶けた。

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