ブラッディマリー
妹までを道連れにするその性根は、この世にあってはならないモノだと思った。
その瞬間、身体の毛穴が全て開いたかのような寒気が和を襲う。
「……お前の思い通りか。腹が立つけど、俺もこれしか思い付かない」
ざわざわと、雨の中を冷たい風が通り抜けて行く。澄人は、にやりと笑った。
ヴァンパイアというのは、自分と同じかたちをしているものの血を啜らなければ生きてはいけない、そういう浅ましい生き物であるくせに、気位だけは高い。
呪われた血筋の処刑執行人もまた、その忌まわしい血を継いでいる者でないと、どうにも救われた気がしないのだろう。
和は、ちゃんと自分を嗅ぎ付けて殺せと縋って来た万里亜を、讃えたい気分だった。
「和、髪……」
驚いた声を上げた万里亜を振り返ることなく、和は迷わず澄人の胸を貫いた。
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