ブラッディマリー
「……白城の家の者は、もともと黒澤の出だったそうだ……黒澤に何かあった時には、白城が盾になる。大昔、そういう契約がなされていた筈だ」
「……俊さん……≪湊≫はそんなこと、一言も……」
「……奴は昔から日和見で優柔不断な男だったらしいからな。両家に上下関係を作るようなことを、今さら蒸し返したりしないんだろうさ」
澄人は和から離れるように、ゆっくりと立ち上がった。
澄人は和の手を掴む。めりめり、と骨の軋む音がして、自分の胸に刺さった手を抜いていった。和の手が抜けると同時に、水たまりにばたばたと血が落ちて行く。
万里亜の身体から流れるそれとは勢いが違った。
しかし澄人は満足そうににやり、と口の端を上げて笑う。
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