ブラッディマリー
 

 俯いたまま、万里亜は固い声で張り上げた。



「和は、関係あるわよ! 血、貰ったんだから……!!」



 万里亜のその言葉に、男の顔が一瞬引き攣る。



「……お前は……たった一晩で……」



 可笑しそうに吹き出すと、男はすぐに表情を整え、また一歩踏み出した。



「……やっぱり、そんなところまで母親と同じなんだな」



 優しく装っていた声に、感情の揺らぎが混じる。


 和は眉をひそめ、男を正面から見据えた。



「……アンタらの家庭の事情なんて知らないけど……よせよ、そんな言い方」


「澄人兄さん、もう、ほっといて!!」



 澄人は遠慮なくじろりと和を睨みつけ、大きく息をつく。


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