ブラッディマリー
 


「……おはよう、和……」



 高く爽やかな声が意識の上から落ちて来て、和は重い瞼を押し上げる。見ると、くしゃくしゃに乾いた髪を気にしている様子の万里亜がそこにいた。


 そういえば、バスルームで彼女を好きにした後場所をベッドに移し、そのまままた抱き合ったような。


 シーツにまだ少し湿気が纏わり付いている。雨の音は、もう止んでいた。



「あの……」



 和のシャツを纏い、万里亜は恥ずかしそうにベッドの上で正座している。


 和はそのまま俯せになり、ベッドの傍に引き寄せていたテーブルの上から煙草を手に取った。一本くわえて火を点けてから、横目で万里亜を見る。



「何?」


「……昨夜は……ごめんなさい」


「何で?」


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