ブラッディマリー
 
 
 肘をついて頭を支えると、和は身体ごと万里亜に向き直った。



「……澄人兄さんのこと」


「別に気にしてないよ。何かされたわけでもないし」



 紫煙を燻らせながら、付け加える。



「……何かされてたのは、お前だろ」



 静かな和の言葉に、万里亜の身体がびくりと反応した。



「……気持ち悪くないの?」


「……別に」


「……兄妹で、そんなこと……」


「いちいち言わなくていい」



 和は苦笑しながら煙を吐き出す。



「……仕方なかったんだろ? 他人に血をくれ、なんて言えないもんな」


「……和……」


「それとも、お前自分から兄貴のベッドに潜り込んだわけ?」


「そんなこと……っ!」


「あるわけない、よな」


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