ブラッディマリー
 


「……ただの勘だよ。水商売やってるから、人を見る目くらいはあるつもり」


「和……」



 万里亜の潤んだ瞳が、真っすぐ和に向けられる。


 幼い子どもみたいなその無防備な視線は、自分のような男には少し痛い。瞳の奥にある悲しみがそのまま映るから。



 ……ああ、そうか。


 だから万里亜は嘘をつけないんじゃないかと、そう思ったんだ。









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