ブラッディマリー
その身体にひどく纏わり付いていたのは、いつの間にか降り出していた雨と血の匂い。
あれから、もう6年になる。
君子の葬儀の後、尚美の身体をめちゃくちゃにしたことは何となく覚えている。親父もお前も俺も人殺しだと、恐怖に顔を歪ませた尚美に言い聞かせたことを、この瞳と口が記憶していた。
そのまま家を飛び出した。
翌年、尚美が子どもを産んだことを、寂れたラーメン屋にあったテレビのニュースで聞いた。
自分の子なのかも知れない、と一瞬和の頭には過ぎった。けれど、すぐに打ち消した。貞淑を美徳だと言ったあの尚美が、そんな間抜けな女には思えない。
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