ブラッディマリー
彼女の平穏
万里亜の涙を止めようと、深く考えずに口づけたのがまずかった。彼女の口唇があんまり上手に応えるもんだから──つい、また最後まで。
俯せで眠りこけている万里亜の剥き出しの背を、和は紫煙を燻らせながら見ていた。その目がふっと細められる。
思わず手を伸ばして触れたくなるそのラインが、とても綺麗で。
こんな綺麗なものをあの男が好きなように汚して来たのかと思うと、いたたまれなかった。
──万里亜の身体を触っている時に、彼女が何度か自分に触れようとした。
それは、所謂女からの奉仕という行為で、万里亜が何をしようとしているか、そしてそれを誰が教え込んだのか──。
考えると、万里亜の性が哀しくなった。
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