ブラッディマリー
血の代わりに与えられる行為の中で、本能に抗えないのをいいことに、別にしなくていいことまで要求されて来たのだろう。万里亜が言うことをきかない時には、手を上げて。
無性に、腹が立った。
おそらく、知れば知る程思い知るのだろうけれど──万里亜は、大事に大事にされるべき、そんな種類の女だ。
それが吸血鬼に生まれたばかりに、あの男の妹だったばかりに──救いを求めて自分のような男と身体を合わせる羽目になってしまった。取り返しのつかないことだらけで、和は軽く自己嫌悪に陥った。
せめて、殺してくれなどともう二度と言わなくて済むようにしてやりたい。
和は万里亜の背にシーツをかけてやると、そのまま窓辺に立った。
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