ブラッディマリー
 


「これね、ブラッディマリーっていうの。16世紀、プロテスタントを次々と殺したメアリー女王が名前の由来」


「……何か怖いですね」


「口あたりのいい酒だよ。飲む?」



 俊輔がグラスを差し出そうとすると、和は彼と万里亜の間に壁になるようメニューを突き出した。



「俊さん、営業停止くらっても知らないよ。こいつまだ17なんだから」


「まだ店開いてないし、お客さんじゃないんだし、一杯くらい」


「……俊さん」



 肩を竦めておとなしくグラスに口をつける俊輔を、和はまた軽く睨んだ。


 けれど万里亜の視線はブラッディマリーの赤をまだ見つめている。和はそれを見て、新しいグラスを出した。

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