ブラッディマリー
 

 血みたい、と言ったのを俊輔が変な意味で取ったことを悟り、和はわざとうんざりとした表情を見せる。


 自分と万里亜にしか通じないんだっつーの。

 軽い優越感に浸りながら、和はそう思った。


 そんな男二人を尻目に、万里亜はグラスに口をつける。その大きな瞳が、驚きに見開かれた。



「これ、トマトジュース!?」



 俊輔は肩を震わせて笑い出す。



「万里亜ちゃん、ご名答」


「えっ? でも、バージンマリーって……」


「それ、塩入ってるだろ。バージンマリーはノンアルコールカクテルなんだよ」



 俊輔にそう言われ、万里亜は和を見上げる。



「何だよ」


「……カクテルって面白いのね」



 真剣に感心している様子の万里亜に、和は小さく吹き出した。




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