ブラッディマリー
はっと我にかえった万里亜は、恥ずかしそうに俯く。
──あまりにもギャップの大きい、万里亜の少女としての貌(かお)と、ヴァンパイアとしての貌。
どちらが本当の万里亜なのだろう。
どちらが彼女にとって心地のよい自分なのだろう。
そして、正体の判らないこの不安定な気持ちは、どちらの彼女に向けられたものなのだろう。
あまりに無防備な目の前の万里亜は、これまで揺らぐことのなかった和の平穏をかき乱すのに充分だった。
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