ブラッディマリー
「そういえば聞いてなかったけど、お前、昼間外に出ても平気なのか?」
歩きながら煙草を取り出した和に少しムッとして、万里亜は彼に立ち止まるよう促す。
往来の邪魔にならないよう自動販売機の陰に和を引っ張って来て、万里亜は持っていたエコバッグから残り少ないミネラルウォーターのペットボトルを差し出した。
歩き煙草を咎められたのだと判った和は、ペットボトルを受け取り肩を竦める。
「和ってば、映画の観すぎだよ」
「誰だってヴァンパイア、イコール夜の住人って思ってるさ」
「……確かにそうかも。だけどいきなり灰になったりはしないよ。心臓に杭を打たれたら、なるかも知れないけど」
煙草の灰をペットボトルの中に落としながら、和は万里亜の顔を見た。
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