ブラッディマリー
「マジで?」
「残念ながら不死身じゃないけど。寿命で死ぬ分には人間と変わらないけど、ここだけは……」
万里亜は自分の胸元をそっと押さえ、和を見上げる。
「ここだけは、駄目。他の何をごまかせても、心臓だけは隠せないヴァンパイアの証」
少し落ちた万里亜の声のトーンに、和は彼女の──いや、ヴァンパイアの抱えた、消せない罪の意識のようなものを見た気がした。
「じゃあ、お前の胸触る時は気をつけるとするよ」
和はわざと軽く言いながら煙草をペットボトルの中に落とした。
「っもう、そんなことここで言わなくたって」
頬を染めて羞恥する万里亜を見、和は笑った。
.