ブラッディマリー
いつも通りコンビニでビールや軽く腹に入れるものを見繕って、和と万里亜はマンションに帰った。
特に会話がなくとも苦痛にならない雰囲気は二人の間に既に出来ていて、和は黙ってビールを冷蔵庫に入れながら、俊輔の言葉をぼんやりと思い返す。
『女の子なんだから、お前がさりげなく気遣ってやれよ?』
判ってると返事をしたものの、どうしたものだろう。
生理の時どうするんだと訊くのは簡単なことだが、万里亜はデリカシーのないものや品のないものをはねつける雰囲気を持っている。
けれどそれは人に気を遣わせる類のものではなく、見る側を我知らず正の感情に引き戻すようなものだ。だからこそ和はこの女を大事に扱わなければ、と感じているわけで。
平たく言えば育ちがいいということなのだろうが。
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