ブラッディマリー
 


「服なら俺が買ってやれるけど、女は女で色々あるだろ。風呂場も好きなようにしていいから、適当に明日の夕方にでも買い物しろよ」


「……あ……」



 万里亜は少し頬を染めると、そのまま俯く。まるで処女みたいなその反応に、和は言い方を間違えなくてよかったと苦笑した。


 すると万里亜は札を持った和の手を軽く押し返すと、1枚だけ抜き取る。



「こ、こんなにいらないよ。だから1枚だけ……これでも余っちゃうくらいだし」


「遠慮すんなよ」


「ほんとに。お釣り、返すから」


「……男は出した金引っ込める時、何気に傷付くんだけど」


「ごっ、ごめんなさい!」



 万里亜は慌てて和の財布を取り上げると、彼の手に残った札を中にしまい込んだ。そのあまりの慌てように、和は小さく吹き出す。

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