ブラッディマリー
「……冗談だって」
「ごめんね……だけど、気遣って貰ったことは嬉しいんだよ? ありがと」
「いいって。でも釣りは持っとけよ。足りなくなったらまた言えばいいから」
和の手の中に財布を返しながら、万里亜は何か言いたそうな顔をする。
「何」
「……和、ついて来てくれないの?」
万里亜のその瞳が頼りなく揺れて、和は彼女の頭をぽんぽんと軽く撫でた。
「……コンビニの通りの斜向かいにあるホームセンター。そこで、事足りるか?」
「うん!」
嬉しそうに頷いた万里亜の笑顔。
それに胸が暖かくなった気がして、和はごく自然に万里亜に顔を寄せた。
「……っ」
万里亜が息を飲む。
暖かな口唇の感触がして、万里亜の手からハラリと札が落ちた気配がした。
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