ブラッディマリー
和が口唇の間から舌を差し入れると、万里亜は抵抗することなくそれを受け入れる。腰にぞくりと軽い快感が走って、和は万里亜の身体を抱き寄せた。
──嫌な予感がした。
いや、それは甘やかな欲求だったのか。
か細く漏れる万里亜の声に煽られながら、和はこうして彼女を抱くことの意味がよく判らなくなっていた。
潤んだ瞳で見上げながら、腕を回し指先で背を撫でて来る万里亜は、ただ血の代わりのセックスに没頭しているようには思えないからだ。
黒澤の家にいた頃、尚美の相手に飽きた時には父親に連れ出されたよく判らない晩餐会やパーティーで出会った、よく判らないお嬢サマと呼ばれている女達で憂さを晴らした。
それが許される家の息子だからというのを盾にしてやると、女達は嫌々身体を委ねて来てた。
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