きせき【編集の為一部のみ公開とさせて頂きます】
少し埃を含む乾いた空気に、大きな歓声とアナウンサーの声が響き渡る。
『中盤からドリブルで一気に駆け上がる!! 速い、速い!! 一人、二人かわして、そのままゴール前までボールを運ぶ!!』
それにはやし立てられるかのように、一段と大きくなる歓声。
無意識に胸の前で握りしめた手に、力がこもる。
『宮崎!! 宮崎!! 自分で行ったーーーーっ!!!!』
「――っ」
痛みを帯びたまま胸を押さえる私の目の前で、彼の蹴ったボールは、力強く美しい軌道を描き、ゴールネットを大きく揺らした。
そして拳を高く青い空に突き上げ、目を細めながら、ゆっくりとその手を開く。
――まるで、太陽を掴むように。