HONEY★HONEY☆LOVER
声のする方向に走る。
道しるべなんて何もねぇ筈なのに
足は勝手に光のもとへ急ぐ。
そして、
「光っ!」
崖の下に今一番見たかった姿があった。
「……れ…ん」
暗くて今光がどんな状態なのかもわからない。
「怪我とかしてるかっ!?」
顔さえもはっきり見えない。
「……ちょっとだけ…」
「………っ今行く。」
怪我をしている、と聞いた途端、体がかっ、と熱くなった。
「えっ!?ちょっ!危な…
ズザザザザッ
きゃぁぁぁっ」
降りてくる俺を見て叫ぶ光。
………よかった
暗がりのなか、ぼんやりと浮かぶ光のシルエット。
俺にとって
この長い髪も
この俺を見る瞳も
このたくさんの言葉を発する唇も
この俺を安心させる小さな手も
全部全部
………大切なんだ
そう思い光を感じたくて、ぎゅっとだきしめた。