戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】
このまま路頭に迷うのは勘弁だ。ていうか、アイツのお荷物には絶対になりたくない。
だとしても。部長の高笑いと不安を打ち消す発言は、どうしても受け入れ難いよ…。
「ああ、どーしてくれんのよぉ…!」
「何よーさっそくノロけちゃって」
「・・・」
あれから部長室での話を終えた私は、オフィスからエスケープしてカフェタイム中だ。
仕事は仕事だからと、ひたすら下を向いてデスクと仲良くしていたかったけども。
そうは上手くいかないのが人事部の仕事であって、他部署へ連絡や赴かざるを得ない。
“どうやって知り合ったの?”とか“おめでとう!”の言葉たちに解放されたくても。
ようやく置き去りに出来たのはランチタイムとは、私って結構真面目かもね…。
「ねえねえ、専務ってどんな人?」
「あはは…」
このカフェで大好きなパニーニとハニーラテも、今日はさすがに味が分からない。
そんな私の事情を唯一知っている由梨は、楽しそうに色々と尋ねて来るから困る。
むしろ私が聞きたいよ。ロボット男のひん曲がった本性を蹴散らせる方法とか。
いやいや。それよりも先ず、婚約解消出来る手立てはないかを探るべきか…?