戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】
だからこそ条件つきだろうが、助けてくれた冷酷非道なロボット男にはこれでも感謝しているのだ。
「あ…パニーニ、テイクアウトしよ」
イヤホン越しの優しい歌声に癒されながら、リベンジを果たすためにお昼と同じ道を辿る事とした。
こうして日々のランチや食事は楽しめているのだし、この場に留めて貰えれば何も望まない。
あのまま実家に連帯保証人の件がバレていれば、楽しい毎日にジ・エンドを告げたと同じだったから。
あの男の望んだ、干渉ゼロでノン・シュガーな生活は、私にとっても願ったり叶ったりの日々だわ。
“愛してる”なんて。大好きだった彼の安い一言に騙されて、路頭に迷いかけたものね…――
カフェへ立ち寄ってお昼と同じパニーニを見事にゲットし、容易いリベンジ成功のあとで電車に乗ると。
ラッシュ時のなか今日も座席に座れる筈もなく、当分は脱出できないので隅の方へと身を寄せた。
立っているのがやっとの、ぎゅうぎゅうな車内で潰れないようにパニーニを抱えて電車に揺られ。
その途中で乗り換えをして、ようやく駅の改札を潜り抜けると、いつもの見慣れた景色にホッと心が和む。
さらに馴染みのコンビニへ立ち寄り、甘党の私はデザートにプリンをゲットすると再び薄暗い道の中を進んだ。