戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】
その外見と性格から陰で“クールな貴公子”と呼ばれるロボット男が、古びた小さな部屋に来ている。
きっと滅多に見られないだろう不似合いな光景は、色々と疲れきっていた私の心のツボに入ったらしい。
この感情ゼロな冷酷ロボット男…、やっぱり一般的生活とは無縁すぎるわ――…
どうにか笑いを堪えながらドリップ・コーヒーを作り、小さなテーブル上へと2つ置いた。
“ありがとう”とは言ったものの、相も変わらず無表情な彼の向かいに腰を下ろせば沈黙が訪れた。
何を考えているのか不明な眼差しが向けられると、まるでコチラが犯罪者になった気分だ…。
「貴方こそ、こんな場所に住む理由は?」
「・・・は?」
また一定のリズムで突然に尋ねられたせいか、彼の問い掛けを理解する事に数秒を要したが。
「ご実家の話を聞きませんが、資金援助の方は?」
「っ・・・」
やはりロボット男は冷淡すぎだ、俯き加減で逃げようとするのを許さず、すかさず追い詰めて来る。