戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】
でっち上げられたという婚約話は、互いの立場上ではとてもおざなりに出来ず。
かといって、黙っていられなかった専務。高慢な社長をひと泡吹かせるために自ら初めて動いた。
――すべては憎しみを抱く父に対して、ひと泡ふかせるためだけに始めた調査。
その過程で朱莉さんのかつての恋人――彩人兄に新たな女性の影はなく、兄もまた彼女を想っていると知った。
だからこそムダな婚約話の破棄と併せて、彩人兄と朱莉さんの復縁を企てたらしい。
始めこそ朱莉さんは、彩人兄の話を専務が伝えても一切信じず。むしろ勝手なことをしないで、とを頑なだったそう。
でも暫くした頃、社長が良くない方へと動き出していたことに気づいた専務。
急ピッチで突破口を模索する中、様々な角度から調査中に発見したものこそ――“灯台もと暗し”となる私の存在だったとか。
どこにでも居るOLが、まさか歌舞伎界のプリンスと評される男と繋がっていたとはきっと驚いたに違いない。
――すなわち高階コーポでOL生活を送っていた私はその瞬間から、ある種ターゲットにされていたのだ。
「すみませんでした」
「・・・え?」