戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】
今まで付き合って来た男とキスを重ねても、心が動くように震える感覚は生まれなかった。
ひとしきり笑い合ったあとは余裕のない口づけへと変化し、鳴き声の代わりに妖しい水音が妄りに響いた。
――宣言通りにベッドへ誘われた私は、前回とは心持ちが180度変わっていたせいか。
さらにセクシーすぎる彼の手で、本当の意味で愛し合いながら何度も抱かれた。
“俺の本気を身体に分からせるまで、飽くことなく抱くので怜葉さん覚悟して下さい”と笑った専務は確かに凄かった。
2ラウンドで早々に降参と白旗を振ったというのに…。それさえも笑顔で“まだですよ”と、華麗にスルーされて身勝手し放題された。
何度も奥へと突き上げられる激しい最中に、ふと優しい笑顔を見せる彼のギャップに絆されて。
幾度となく身体を欲する彼の愛撫によって取り巻く、みだらな快感にもとても抗えなかった。
まして触れるごとに熱を帯びる身体を通じて、相手を愛しいと思うことが今までなかったから。
彼と抱き合った事実は心を楽にさせると同時に、今まで縛られて来た何かを解き放ってくれたと思う。
だからこそ、つよく感じられた快楽だけではなく。私を欲してくれる、繋がった男が好きで仕方ないという、本音をありのまま伝える大切さ。