戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】


そうして人事部のオフィスで時おり談笑をしながら、慌ただしい中の華やか部署でバタバタと働くことは大好き。


まさかの借金生活に陥るまでは、これが私にとってごくごく当たり前の日常で。


この平穏な空気に包まれながら、お気楽OL生活を公私に渡って過ごした仲間がたくさんいるから…。




この人生を歩むきっかけを与えてくれた、おじいちゃんやおばあちゃんの元で育てられたことは私の誇りであって。


大好きな2人には今もこれからも、どれほど感謝してもしきれないだろう。


かの教えのとおりに、世の中にはお金で買えない素晴らしい物がたくさんあって。


さらにそのものたちこそが、日々を生き抜くうえで最も大切なものだと思えるから。



あれから彩人兄とは徐々に仲違い感も薄れた、…というのも朱莉さんのお陰で親交が深まっているため。


彼らの多忙さゆえあまり蜜ではないけど。それでも月に2度は会って、今までの空白を埋めようと努力している。


もちろん彩人にぃと朱莉さんの関係は良好で、こちらがうんざりするほどラブラブものだ。


来月にはいよいよ盛大な挙式と披露宴を控える、巷で最もホットで幸せの象徴的カップルだから仕方ない。


その式には出席を快諾した私だけど。その場で間違いなく、実の父と十数年ぶりの再会を果たすだろう。


< 397 / 400 >

この作品をシェア

pagetop