戸惑いの姫君と貴公子は、オフィスがお好き?【改訂版】


もちろん敬意を払って、彼女の姿が見えなくなるまで頭は下げていた。
そしてこれ以上の長居は無用と、急ぎ足でエレベーターへと逆戻りする。


実はぐるぐる駆け巡っていた、彼女の発言が意味するコトなど一切考えたくない。


到着した重役専用エレベーターの中へそそくさと乗り込めば、目的である地上1階を連打する。


よく言い返したな私――と、たまには褒めてあげなければ、気疲れしている身が持ちそうにない。


ズキズキ痛む心を労わるよう、地上へ到着後はオフィスから抜け出した。




「あー、バカ男…!」


エレベーター内で気持ちを落ち着かせて来た筈だが、なぜ今日はイライラが止まらないのだろうか?



そのせいで今日も地下鉄は利用せず、自然と自らの足で帰路につく方を選択していた。


これ以上の悲しさと虚しさを感じないように。ロボット男へ悪態をぼやいては、コンクリートを蹴るように歩いて行く。


これこそ、昨日のリベンジを決行すべきだ。同じコンビニへ立ち寄って、お決まり銘柄ビールとおつまみで晩酌が一番などと考えた。



いくら義務があるとはいえ、今日の仕打ちはあまりにヒドい。非常識すぎるロボット男なんて、もう知らないわよ…!


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