ご主人と使用人
「こっちは温室になっていて、ここをまっすぐ行くと噴水が見えるの」
執事室の裏の道を指差して、スミレさんはこっちを振り向いた。
その先を見てみると、噴水はまだ見えていなくて、お屋敷はまだ遠いとわかった。
歩いていると、温室の他にもおおきな木でできたベンチみたいな形のブランコがあったり、
温室とは別の植物を育てているスペースがあった。
スミレさんがそれぞれに簡単な説明を付け加えながら、他の使用人のことも話してくれた。
話していると遠いと思っていたお屋敷は案外近く、大きな噴水の向こうにお屋敷と思わしき建物が見えた。
「あちらがお屋敷。今日は平日だから、夕方になれば坊っちゃんたちが帰ってくるわ」
最後にそう言うと、スミレさんはあとは自由に見ていってね、とどこかへ行ってしまった。
急に寂しさや不安が私を襲う。
とりあえず、もと来た道を戻り執事室の自分の部屋を見てみることにした。