夢渡り
プロローグ
私は何をしにここに来たのだろうか。


誰かに問われれば、安易に答えることはできないと思う。

私は、それほどまでに混乱していた。

目の前で起きていることをすぐに理解することができなかったのだ。

目の前の光景を、肯定することができなかったのだ。





ガタン、ゴトン





冷や汗が私の額から流れ、頬を伝う。

これはきっと夢だと、私は信じたかった。

この事実は私にとってはあまりにも酷すぎたのだ。

立ちすくむ私に、彼は微笑みながら、





―会いたかった。
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