夢渡り
流され続けて小一時間。
足がふらつき、息が荒くなる。
原因はおそらく、慣れない都会に長時間いたせい。
ーまた、前のように倒れてしまうのか、
しかも、今回は、あいつがいない。

絶望しか先に見えなくなった、その瞬間、ふいに視界がくらむ。

真っ暗になった瞬間、目の前に白がいた。
矛盾しているかもしれないが、本当にそう映ったのだ、私の目には。
その白が何なのか分からないまま、顔を見上げると、そこには いた。
白服の、男が。


「…あれ、再びお会いしましたね、お嬢さん」

そいつは、紛れもない、以前会ったあの男だった。
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