夢渡り
「なぜ、またこの街に?」
男がカップを持ったまま私に問いかけた。
「えぇ、ちょっと…また、なんとなく」
口元を引きつらせながら笑うと、彼はあぁ、そうですかとにこりと笑いかけた。
対する私は目の前の紅茶を飲むこともなく、ただ膝の上で拳を握りしめるだけであった。

…なぜ、私は優雅にお茶なんてしているのだろう

いやまぁ優雅にっていう言い方はおかしい確かにおかしい、何故なら私は一切紅茶に口をつけていないわけでこの男が勝手に紅茶を飲んでいるだけだから私とこの男がお茶をしているとは言えない気が、そもそもこの男が何故私をお茶に誘ったのか全然読めないんだけどああなんだこの男は何者なのコイツ本当にこの世の モ  ノ    …なのか…?


ー彼は、ニンゲンなのか?
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