夢渡り
1章

出会い

なぜ都会というのはここまで気分が悪くなるものなのだろうか。

私のまわりを流れていく大量の人、人、人。
少なくとも私にはその流れが無機質なもののように見えた。


―吐き気がする。


口を手でおおい、人を抜け出そうとするが、流れに逆らうことは咎められた。
都会に人の少ないところなんて皆無だったのだ。
人の波にのまれそうになり、よろけた足を立ち直すことができず、その場に崩れる。


―誰か、




「大丈夫ですか?」
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