夢渡り
「ぼくは、きみを、あいしているんだから」

知ってしまったら、もう逃げられない。
まるで、蜘蛛の糸に捕らわれた小さな虫のように彼は私を逃がさない。
このひとは、危険だと、本能的に理解していたのに。

冷や汗が、私の頬を伝う。

気づけば、明るい朝だった風景から暗い、引き込むような闇へと変わっていた。
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