夢渡り
ハッとして、声のしたほうに目を向ける。
そこにいたのは、―どこかでみたことのあるような気がする―男性、だった。
男性にしては少し長めの白い髪に、目が離せなくなる、青い目。


「え…と、私…」


「覚えてない?倒れたんですよ、貴方。ぼくの目の前で。それで、ここまで運んできました。」


すぐ近くの病院ですけどね、と彼は笑った。
病院―どおりで真っ白いわけだ。
そんな、わざわざ運んできてくれたのか。
なんの関係もない、初対面の人間を。
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