夢渡り
「あの、ありがとうございました。私、都会って慣れていなくて…」
田舎育ちの私には、都会の空気はすぐに慣れるようなものではなかった。
そもそも、なぜあんなに苦手としていた都会へ来たのか?
―その理由が、わからないのだ。答えることが、できないのだ。
ただ一つの理由としては、 ‘何か惹かれるものがあったから’
何かにひかれたのではなく、自らの身体が自然に引き寄せられた、と言ったほうが正しいだろう。
そこに私の意思など入る隙はなかったのである。
「―そう。それより、お体の方は大丈夫ですか?」
「あ、はい。だいぶ気分もよくなりました」
「それはよかった。…あの、よろしければ家までお送りしましょうか」
「…いえ。私、少し遊びに来ただけなので」
え、と男は驚きの声をあげる。少しだが、表情が崩れたような気がした。
田舎育ちの私には、都会の空気はすぐに慣れるようなものではなかった。
そもそも、なぜあんなに苦手としていた都会へ来たのか?
―その理由が、わからないのだ。答えることが、できないのだ。
ただ一つの理由としては、 ‘何か惹かれるものがあったから’
何かにひかれたのではなく、自らの身体が自然に引き寄せられた、と言ったほうが正しいだろう。
そこに私の意思など入る隙はなかったのである。
「―そう。それより、お体の方は大丈夫ですか?」
「あ、はい。だいぶ気分もよくなりました」
「それはよかった。…あの、よろしければ家までお送りしましょうか」
「…いえ。私、少し遊びに来ただけなので」
え、と男は驚きの声をあげる。少しだが、表情が崩れたような気がした。