チェリーが毎年クリスマスに想うこと
タイトル未編集
2010・12・24
この日が私の運命を変えることになろうとは
お父ちゃんも
お母ちゃんも
ばあちゃんも
誰も知らんかった。

5年前------

2005・12 


今年も残り1か月
私は大学4年生。

就職先はいまだ決まらず、
今更、田舎に帰る気もなく
毎日、毎日、黒いスーツに
黒いパンプス。
黒髪に、黒い書類バッグ。
アイロンをピッシリかけた
真っ白なYシャツに身を包み
就職活動に明け暮れてた。
もう50は面接を受けたであろう・・・・
記憶は定かでない。
一つも内定はなく、
全滅中なのは確かである。

今日は、恵比寿にあるアパレル会社に
面接に来た。
アパレル会社じゃ私みたいな
文学部出身はおよびでないことは知っている。
しかし、勉強してきたことが
ためになる会社は、すでにもう落ちた。
何のために勉強したかわからん。
どこでもいいから決まらんことには
田舎に連れ戻されてしまう。
タイムリミットはあとわずか。
卒業までに決まるかよ~~~。
さくらはマメのできた足を
かばうように、すこしびっこを引きながら
アメリカ橋を渡った。
いつもならまっすぐ帰るところだが
ガーデンプレイスはクリスマスツリーが
飾られている頃だ。
「ライトアップを見て、お茶して帰ろうかな~。」
ヘッドホンを耳に指し込みながらつぶやいた。

その空間は、都会の中で
少しだけ癒しを与えてくれる。
田舎者の私にとっては、
東京での唯一、憩いの場所だ。
信号を渡ると時計広場には
大きなツリーが飾られている。

「そうだ、ブログ用に写真撮っておこう!」
【田舎のみっちゃん】に見てもらうんだ~
---今年のもすごいよ!-----って。

【田舎のみっちゃん】とは、ご想像通り
さくらの幼馴染。




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