チェリーが毎年クリスマスに想うこと
第6章
ばあちゃんの49日も無事終わり、
私は、店を再開した。
ひぐらしが強弱をつけて
鳥のような声で鳴く日暮れには
店の電気はつけないで
窓から差し込む西日で
店の本を楽しむ。
余計に本がいとおしくなる。

夕食は一人でいると
気がめいるからと、しばらくの間、
【キッチンみなかわ】で
みなちゃんとかわちゃんと一緒に食べた。

そこへ、
東京の女子大へ進学して
アパレル会社の秘書を務め、
その後、○○党の大物の秘書をしたあと
市議会議員になった
同級生の香川ちゃんがやってきた。
さすが、政治家は地元を大切にする!

町おこしの話をすると
「まずは、同窓会だね!」と
大乗り気になってくれた!
市議会議員が味方に付いたら
話は早い。

私たちは
夜毎、【キッチンみなかわ】で会合をした。

9月15日、
【森の神社】の秋祭りの日、
小学校の教室を借りて
やっとのこと
同窓会を開くことができた。

地元メンバーに
地元を離れた友人、先生方。
こんなに大勢集まったのは
何年振りだろう。
私も東京に出てからは
20歳になる前に
1度、出席したきりだった。

全く忘れていた初恋の小泉君まで現れた。
小泉君は中学の時の私の初恋。
何十年も前の
【森の神社】の秋祭りの日、
ゆかた姿でデートした。
なつかしぃ~
でも、
彼は・・・・。
見るも無残な姿に・・・。
変わっていた。
頭は禿げ上がり、
お腹はだらしなく出て、
顔は脂ぎって、汗だらだら。
初恋の人と結婚しなくてよかった~。
悪いけどホッとした。
予想通りこの町に
王子様はいなかった。

ま、今日はそんなことはどうでもよい。
皆の再会と、今後の町の復興が
テーマだったのだから。

地元メンバーは地元紙を発行し、
自営の人たちは
店のリニューアル計画
市議会議員の香川ちゃんは
町おこしのために
予算をもらう!
それぞれが、生まれた町を捨てないための
努力がはじまった。

30歳目前の底力を出す時が来た!

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