チェリーが毎年クリスマスに想うこと
坂道のプロムナードを下ると
毎年、バカラのシャンデリアが飾られる。
バカラだよっ!て自慢したって
田舎のみっちゃんは
そんな高いの飾って
【バカ】でねえぇ~の~?と
くだらない冗談を言うだけ。
センター広場のカフェで
温かいコーヒーを買い
シャトーレストラン「ジュエルロブション」の前の
シャトー広場で、
東京に居ながら広い空を見渡し、
犬の散歩をしている人や
沢山の外国人を
ただ、ボーっと眺める。

やがて、日が暮れると
一瞬で景色が変わる。
煌々と瞬くイルミネーションの海は
童話の中のシンデレラ城のような
輝きを放つ。
----なんてね。

「ふ~~~~~~っ」さくらは
なが~~~い ため息をついた。
「帰るかっ!夢の時間は終わりだ。」

山手線で新宿に出る、
そこからメトロに乗り換えて
小さな駅に着く。
駅から15分の小さなマンションが
私の部屋。
大学に入学したとき、
「女の子の一人暮らしはとにかく物騒だ!」と、
父ちゃんが
少し無理してオートロックとセキュリティーのついた
8階建ての最上階の部屋を借りてくれた。
うちは、決して金持ちじゃないが、
一人っ子だったから
4年間だけ、という約束で
家賃と生活費は仕送りしてくれた。
自分で言うのも変だが
全くありがたい話だ。

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