チェリーが毎年クリスマスに想うこと
店の明かりをつけると
白いシャトーから橙色の明かりが洩れて
とてもいい感じだ。
吉住さんを、店の中にある
小さなイスとテーブルに案内し、
温かいミルクコーヒーを入れた。
彼はいつも砂糖を3杯も入れていた。
「吉住さん、砂糖どうします?」
「あ、ありがとう!ノンシュガーで。」
「砂糖入れるのやめたんですか?」
「うん。健康のためにね。」
「ふ~ん、偉いですね~。」
吉住さんがバッグからおもむろに
写真を取り出した。
「これ!見て!この間、フットサル大会やったんだ!」
「わ~!みんな元気ですか~!?懐かし~!」
よく見ると、ヒロも写ってた。
「・・・・・・・・・・・。」
「秋山さん(ヒロの苗字)・・・・・どうして・・・?」

「どうして・・・・車椅子・・・?」
「ヒロに聞いてなかったの!?」
「ええ、」
「あいつ、去年、交通事故にあって、向こうで仕事できなくなって
 東京に戻ってきたんだよ。聞いてないなら、ここだけの話ね。」
寝耳に水とはこういうことを言うの?
あまりに驚いて、
なにも考えられない。
「いつですかっ!?」
「詳しくは知らないんだ、ごめん。ただ、妹さんが遊びに来てて、
 車でどこかに送る途中、事故にあって
 ・・・・、妹さんはその事故で亡くなったらしいよ。」
茫然自失。

自分が愚かで
情けなくなった。
メール!メール読まずに削除してた。
馬鹿だった。馬鹿すぎる。
ヒロにはあの時私が必要だったはず。
私にもヒロが必要だったはず。

ボタンを掛け違えたのは
私の方だった。

ヒロ本当にごめんね。

毎年、クリスマスには
ヒロを想う。

何年も・・・何年も・・・・。



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