チェリーが毎年クリスマスに想うこと
第2章
2006・春
大学は卒業したものの
私は就職できず、
結局、非正規雇用者
つまり、派遣として
今までバイトしていた出版社に
拾ってもらった。
その代り、ではないだろうが、
ヒロは関西に転勤の辞令が出た。

ありえない・・・・。
ありえない・・・。
なんという、残酷な・・・。
就職は決まらず、
仕送りは打ち切られ、
彼氏は転勤。
ああ、神様はいないのね~。と
自分の不運さを恨んだ。

「ヒロは季節ごとに会いに来るよ」と
約束し、東京を後にした。

私の【遠距離恋愛】がスタートした。

23歳
24歳
25歳
26歳
毎年ヒロは帰ってきて
クリスマスは
恵比寿のあのホテルで二人で過ごす。

しかし、5年目のクリスマス。
ヒロは帰ってこなかった。
2010・12・24
そして、その日、事件が起きた。
父ちゃんと、母ちゃんが二人で
旅行に出かけた帰り道
交通事故に会い、天国へ行った。

ばあちゃんは、もうとうに80を過ぎている。
ヒロも去った東京にもう未練はない。
私は、小さな町の、小さな本屋を
自分が継ぐしかないと
田舎へ帰ることにした。

私は、同級生の大工のかわちゃんにお願いして
本屋を改築することにした。
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