何時も君が私を見てる。
彼の近くで眠ることになれているせいか、私は早くに夢の世界に落ちていった。
ーーー
「なお」
眠っている彼女からの反応はない。起きないと知っているから夕明は愛しい人の名を呼ぶ。
「なお、なお。なーおなーお」
はたから見れば猫の泣き真似をしている様に見えなくもない。
夕明は彼女の頬を右手の人差し指でつついた。弾力抜群とまではいかないが、女性特有の柔らかな頬に夕明の表情も綻ぶ。
「んん…」
つつかれた彼女が小さく呻き口を小さく開いた。そこに先程の右手の人差し指を入れた。
優しく唇の裏に触れ、歯を撫でた。
「ぅ、ん…」
眠ったままの彼女から呻き声があがる。ここは空気を読み、濡れた声でも出してほしい所だがそれは無理な話だ。眠る人に期待など無意味。
そもそも期待などしていない夕明が、がっかりし手を止めるようなことはしない。
彼女の全てを愛しているから。例えおならであろうとゲップであろうとも、眉を寄せることさえしないだろう。