シュールな悪魔に愛を
「…重い?」ルシファーは驚く。
「愛が重いと言うのか。はは、こりゃまいった。隔離された少しの間に人の世もずいぶん変わったものだ。だが、重いと感じるのは楓がまだ愛を知らぬからではないか…」

言葉を遮って、楓はぴしゃりと言い放つ。
「そうだよ、まだ知らないもん。仕方がないの、彼氏だっていないし。
でもって、永遠の若さと言われても…あたし若いし。実際、まだ老いてないから老いがどれだけ寂しいものかも実感ない。」

ルシファーは腕組みをして眉をしかめる。思い通りの展開にならないのだ。

悪魔を目の前にしても恐れず、たぶらかそうにも乗ってこない。ああ言えば、こう言い返す。
封印された1000年の間に、人間の小娘がこんなにも強く、扱いにくくなろうとは。
「まったく、なんて世の中だ…」


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